粒日記

東京暮らし10年。夫と2人暮らし。日々思うこと。

「なんで結婚したんですか?」

この前、ライターさんと打ち合わせをしていたら「なんで結婚したんですか?」と聞かれた。ちなみに、恋とか愛とかそういうテーマの記事の打ち合わせだったから決して恋バナを楽しんでいたわけではなく、仕事の話から自然な流れで。

で、結論としてはうまく答えられなかった。

「なんでかなー」

「自然な流れかなー」

みたいなことをトツトツと話したけど、なんか向こうもピンときてなくて、喋ってる自分もピンときてなくて。それから数日間考えていた。

 

ライターさんに質問されたとき。「夫とは友達夫婦みたいな感じですね」と言ったら「じゃあ、“友達”じゃダメなんですか?」「結婚しなくてよくないですか?」と返されて「たしかに」と思った。

まず、私は友達が少ない。数少ない友達はいるにはいるけど連絡をとったり気軽にごはんに行ける(または行きたいと思える)人は片手で余裕で足りる。その中で一番気兼ねせず、無言の時間に焦ることもなく、自然体でいられるのは世界で夫ただ1人だけ。

じゃあ家族だったら気を遣わないじゃんという人もいるかもしれないけど、親や兄弟にこそ気を遣う。一番のナショナルクライアントだくらいの気持ちでとにかく気を遣って、結果疲れる。実家にいても気が休まらないし、親が望んでいる娘、妹が望んでいる姉を演じる。とにかく疲れる。でも、大切だ。

 

大切か、大切じゃないか

自分にとって「大切か大切じゃないか」はすごく重要な境界線だ。基準でもある。友達や家族は大切だけど疲れる。そんななかで「疲れないし、かつ大切」という両方を備えているのは夫だけだ。

かつて、すごく好きになったある男性がいた。かっこよくておしゃれで仕事もできて人望も厚くてお金持ちっていう、男性からも女性からも「モテる」要素をたくさん持っている人だった。現にすごくモテるようだった。

だから女性の扱いも上手で(だから結婚も数回していたし笑)、私も他の女性たちと同じように彼に夢中になった。毎日彼のことを考えては、会いたい会いたいとばかり思ってた。好かれるためにダイエットしたりファッションや美容も気を遣った。喜んでもらいたくて誕生日やイベントごとも頑張った。デートをドタキャンされても何も言わずに我慢した。忙しい彼の理解者になりたくて「仕事頑張ってね」「無理しないでね」とか理解を示すアピールをした。そばにいるだけでドキドキして、胸がぎゅうとなって。その男性に恋をしている間に辛いという感情もたくさん感じたけど、喜びもたくさん感じた。

大切な存在だった。ただ、むちゃくちゃ疲れた。彼は恋の醍醐味や楽しさを教えてくれたけど心と体はぐったりしていた。頑張って無理をして疲れる。いやいや、それなんていう修行ですか。残ったのは都合のいい関係と、それに対する虚しい感情だけだった

結婚してる身でこんなこというのもあれだけど、これからの人生でまた夢中になるほど好きになる男性が現れるかもしれない。そもそも夫の見た目は私のタイプじゃない。かつて夢中になった彼のように異性としてのドキドキや色気を感じることもない。だからすごくタイプな人に出会ったら恋に落ちるかもしれない。だけど夫ほど「大切」で「疲れない」ような人はもう現れないと思う。

そのハードルは低いように思えるけど、実はすごく高い。もともと友達が少ないというのもあるけど、親兄弟でさえ疲れる私にとっては特に「疲れない」という存在はものすごく大きい。「疲れない」というのは相手が与えてくれる安心感があることや、価値観が近い(ズレを埋めたり無理しなくていい)という意味でもある。離婚の原因で多いといわれる「性格の不一致」は、とどのつまりお互いのズレを埋めたりどちらか片方が無理することから生まれる“疲れ”の蓄積だと思う。

 

大切ランキング1位=超親友=夫

少し話はそれるけど、恋人に対してはヤキモチをあまり焼かない。というかそういう感情自体が湧いてこない。束縛したいと思ったこともない。そのせいか今までお付き合いしたことがある男性からはことごとく「冷たい」とか「淡白」とか言われ続けてきた。だけど、そんなことはまったくない。“超親友”に対してはものすごくヤキモチを焼く。男女限らず私以外の誰かと仲が良さそうなのを見ると嫉妬と独占欲が止まらない。そうなると、すごく感情的になる。常に私が一番近い存在でありたい。そこに対する執着は強いと思う。(ちなみに超親友というのは親友の中でも特に上位な親友のこと)

家族や親友への「好き」はよほど大きな事件やトラブルがない限りはなかなか変わらない。だけど恋の「好き」は長くは続かないしいずれ消滅する。恋は時間が経過するごとに薄れていくけど、情は時間が経過するごとに絆になって深まっていく。

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結論として、なぜ夫と結婚したかというと。自分にとっての重要度が「情>恋」だからだ。もっと詳細にいうと「超親友>家族>親友>恋人友達」だからだ。大切な存在ランキングの頂点にいる超親友が今の夫だったからだ。そこにドキドキがあるとかないとかはどうでもいい。

ただの友達や親友だったら結婚しなくていい。でも超親友だからこそ独占したい。私がその人にとっての一番でいたい。結婚は、一番であり続けるための手段のひとつ。もしも超親友が女性だったら私はまだ独身のままだったかもしれない。

ちなみに、夫も私と似て友達が少ないので今のところ「君が一番の親友だ」と言ってくれている。ありがてえ。

 

夫が別の女性を好きになることだってあるかもしれない。だって長い人生だもの、恋に落ちる可能性はいつだってどこにだってある。私はズボラだし家のことは全部任せっきりだし酒グセ悪いしかわいくもないし貧乳だし。世の中には、魅力的でかわいくて献身的な女性なんて星の数ほどいるし。夫の見た目がタイプじゃないとか言っておきながら、夫にとっても私は「そもそもタイプじゃなかった」可能性だってかなり高い。

今後もし夫がタイプの女性に出会ったら、その人に恋をしてもかまわない。でも、一番の超親友はずっと変わらずに私であってほしい。これは割とまじなお願いです。